粉雪
「―――隼人、起きて!!
朝だよ!!」


『ん~?
あとちょっと…』


差し込む朝の日差しに余計にきつく目を瞑った隼人は、

肩の位置まで掛けていた布団を頭から被り直して。



「朝食来るよ?
起きてよ!!」


仕方なく、無理やり布団を剥がしてやった。


いよいよ今日は、初の観光や遊園地に行けるってのに!



『…ちーちゃん張り切りすぎ…。』


隼人はベッドから体を起こし、寝惚けながら煙草を咥えた。


相変わらず、朝は苦手らしい。



―コンコン!

『失礼します。』


タイミングよく、声が聞こえた。


急いであたしは、ドアを開ける。



『―――おはようございます。
お目覚めはいかがでしたか?』


昨日と同じ男が、機嫌を伺うように聞いてきた。



『アァ?ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇよ!
早く出てけや!』


「隼人!!」


隼人の寝起きは、ホントに最悪だ。


それにしても、ここまで言うことはないのに。



『すっ、すいません!!』


またしてもボーイは、逃げるように出て行ってしまった。


その後姿を見送りながら、あたしはため息を混じらせる。




「も~!何でそんなこと言うの?
可哀想じゃん…。」


『え?何で?
邪魔されたくねぇだろ?』


「…ちょっと…!」


隼人に押し倒され、そのまま唇を入れられた。


こんなことをしていては時間が勿体無いし、

何より折角時間をかけて髪の毛を巻いたのに。




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