粉雪
事情聴取
地元から少し離れたコンビニに行くと、そこにはすでにマツの車があった。


こちらに気付いたマツは車を降り、隼人はその横に車を着ける。



『―――俺、このまま河本のとこ行くから。
後はマツに送らせるよ。』


「わかった。
待ってるね?」


『おー。
なるべく早く帰るから!』


そう言うと、あたしにキスをして車を降り、マツの車に乗り込んだ。


マツは隼人が今まで座っていた運転席に乗り込んできて。



『マツ!何かしたら、殺すからな!』


『おっかなくて出来ませんから。』


そして2台は、別々の方に車を発進させた。


マツとなんてまともに話したこともないし、何より話すことさえなくて。


何も言わないあたしに、マツが口を開くこともなくて。


流れる沈黙は重く、音楽ばかりが虚しく響く。




「…何か喋ってよ…。」


ずっと沈黙のまま車を走らせるマツに痺れを切らし、

口を開いたのはあたしだった。



『…旅行、どーでした?』


そんなあたしを一度横目で捕らえ、マツは再び正面に視線を戻す。


まるで、子供のお守りに付き合わされてるって顔に見える。



「…嫌味?」


『…スンマセン…。』



これで、会話が終わってしまった。


本当に、話し相手にさえならない。



「…マツくん、仕事楽しい?」


『呼び捨てで良いっすよ?
つーか、あんま話してたら、隼人さんに殴られます…。』


「…あっそ。」


少しイラついて、煙草を咥えた。



「…隼人、怖い?」


『…そりゃ怖いっすよ。
でも、優しいトコもありますから。
俺は、隼人さんに憧れてます。』


「…ふ~ん。」


つまんなく感じ、窓の外に目をやった。


共通の話題なんて隼人のことくらいしかないけど、

あたしはあまり隼人の仕事のことなんて聞きたくないから。



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