粉雪
あれから何度か、あたし達3人は警察に呼ばれた。
だけど、誰も口を割ることはなかった。
それから約1ヵ月後、突然事件は起きた。
―バタン!
「…何…?」
玄関から聞こえた大きな音に、驚いてあたしはそこに向かって。
瞬間、目にした光景に息を呑んだ。
「隼人?!何があったの?!」
マツに肩を貸され、隼人の腕からは血が流れていた。
いつかの光景が、フラッシュバックされて。
ポタッと一滴、隼人の血が雫となって零れ落ちる。
『…心配すんな。
クソチンピラにやられただけだ…!』
「一体どーゆーこと?!」
脂汗を滲ませる隼人を、急いでソファーに運んだ。
こんな光景を目にする度、あたしは震えが止まらなくなって。
『隼人さん、スンマセンした!!
俺が代わりに殺られてりゃ―――』
『―――ァ!!
マツ!てめぇのおかげでこの程度だったんだ…。
気にすんじゃねぇよ…。』
あたしに消毒をされながら、隼人は傍目からでもわかるほどに気丈に振舞う。
雪のように白かった脱脂綿は、次々に鮮血の色に染められて。
『…でも…』
『黙れや!
俺はてめぇの親父でも兄貴でもねぇだろーが!!
極道みてぇなこと言ってんじゃねぇよ!!』
『…スンマセン…。
今度からは、ドス用意しときます!』
『アァ?!てめぇわかってんのか?!
今、そんなモン持ってたら、銃刀法で引っ張られるだろーが!
“ドス”なんて危ねぇ言葉、使ってんじゃねぇ!!』
『…スンマセン…。』
マツは唇を噛み締め、深々と頭を下げた。
『…明日の引渡しの件、てめぇに任せる。
抜かりねぇよーにしとけ!』
『…ハイ、失礼します…。』
また一礼し、マツは部屋を出た。
だけど、誰も口を割ることはなかった。
それから約1ヵ月後、突然事件は起きた。
―バタン!
「…何…?」
玄関から聞こえた大きな音に、驚いてあたしはそこに向かって。
瞬間、目にした光景に息を呑んだ。
「隼人?!何があったの?!」
マツに肩を貸され、隼人の腕からは血が流れていた。
いつかの光景が、フラッシュバックされて。
ポタッと一滴、隼人の血が雫となって零れ落ちる。
『…心配すんな。
クソチンピラにやられただけだ…!』
「一体どーゆーこと?!」
脂汗を滲ませる隼人を、急いでソファーに運んだ。
こんな光景を目にする度、あたしは震えが止まらなくなって。
『隼人さん、スンマセンした!!
俺が代わりに殺られてりゃ―――』
『―――ァ!!
マツ!てめぇのおかげでこの程度だったんだ…。
気にすんじゃねぇよ…。』
あたしに消毒をされながら、隼人は傍目からでもわかるほどに気丈に振舞う。
雪のように白かった脱脂綿は、次々に鮮血の色に染められて。
『…でも…』
『黙れや!
俺はてめぇの親父でも兄貴でもねぇだろーが!!
極道みてぇなこと言ってんじゃねぇよ!!』
『…スンマセン…。
今度からは、ドス用意しときます!』
『アァ?!てめぇわかってんのか?!
今、そんなモン持ってたら、銃刀法で引っ張られるだろーが!
“ドス”なんて危ねぇ言葉、使ってんじゃねぇ!!』
『…スンマセン…。』
マツは唇を噛み締め、深々と頭を下げた。
『…明日の引渡しの件、てめぇに任せる。
抜かりねぇよーにしとけ!』
『…ハイ、失礼します…。』
また一礼し、マツは部屋を出た。