粉雪
―ガチャ…

「…おかえり…」


夜遅くに帰ってきた隼人を、出迎えた。


とても、冷静なんかでは居られなくて。


だけど押し殺しあたしは、何事もなかったように口を開く。



『…起きてたんだ…』


「…明日も、休みだから…。」


言ってて、心臓は音ばかりを立てていて。



『…そっか…。
ちーちゃん、寝ろよ…。』


「…ずっと、待ってた…」


『…そっか…。
何か、話したいことでもあるの…?』


疲れ切った様子で、笑顔を向けられたけど。



「毎日毎日、どこに行ってるの?!」


責めたいんじゃないのに、口から流れ出る言葉は、次第に大きくなっていく。


抑えきれないほどの怒りばかりに支配されて。



『…ごめん、仕事だから…。』


それだけ言って、隼人はソファーに体を沈めた。


毎日毎日、会話をするのはこの数分だけ。


こんなのもぉ、耐えられないよ。



「…じゃあ、コレは何?」


ポケットに入れていた、たくさんの名刺を取り出した。


瞬間、隼人は驚いたように顔を引き攣らせていて。



『…どこで見つけたの…?』


「…スーツ洗おうと思ったら、出てきたから…。」


唇を噛み締めた。



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