粉雪
『…捨てとけよ…。
どーせ、飲み屋の女のだから…。』


ため息をついた隼人に、怒りすら込み上げてきて。


声が震えないように、あたしは口を開く。



「…じゃあ、毎日飲み歩いてるの…?」


『仕事って言っただろ?!
飲み屋くらい前から行ってただろ?!』


“何で怒ってんだよ?!”


そう言って隼人は、声を荒げて。


泣かないように、キツク睨んだはずなのに。


ウザそうに言う隼人に、頭が真っ白になった。



『…なぁ、ちーちゃん…。
俺のこと、信じろよ…。』


「…ごめん、今はわかんない…」



今まで、散々信じ続けてきた。


だけどもぉ、ホントに限界なんだ。


その上たくさんの女の名刺を発見してしまった。



“隼人さんは今まで、飲み屋の女以外は相手にしなかったのに”


マツの言葉が、脳裏から離れない。




『っざけんなよ!
他に女作ってるとでも言いてぇのかよ?!』



何であたしが責められないといけないの?


隼人は一体、何をやってるの…?



「だって、そうじゃん!
そんな風にしか思えないよ!!」


泣きたくなくて歯を食いしばったのに、溢れ出る涙を止められなかった。


隼人とは、喧嘩なんか一度だってしたことがなかったのに。


こんな隼人、好きじゃないよ。




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