粉雪
―――街に来て、中心部にある自動販売機の横で立ち尽くして煙草を吸った。


お金なら腐るほどあるのに、それは隼人のお金だから、

そんなお金を使いたいとも思わなくて。


短くなった煙草を投げ捨てては、また新しい煙草に火をつける。




『ねぇねぇ、一人~?
さっきから見てたけど、誰か待ってんの?』


声を掛けて来たのはキャッチらしき男。



「…別に。」



帰ってくるとも限らない隼人を待ってるわけじゃない。



『じゃあさ、俺と来なよ!
金が欲しいなら仕事紹介するし!
それとも、俺とこのままフケる?(笑)』


馴れ馴れしく肩に手を掛けられたが、あたしは表情一つ変えなかった。


痛いほどに風が冷たくて、もぉどうなったって良いから。



『―――オイ!
街中で堂々とキャッチしてんじゃねぇよ!
てめぇ、捕まりてぇのか?!』


『松本さん!!
スンマセン!以後、気をつけますから!!』


突然に、誰かの声に制止された。


瞬間、男は焦ったように言ってあたしから離れる。



『アンタ、こんなトコで何やってんだよ?!』


「―――ッ!」


その言葉に、ゆっくりと顔を向けた。


その瞬間、驚きを隠せなくて。



「…マツ…!」



ヤバイ!


瞬時に思ったが、全ては遅かった。



『松本さんの知り合いっすか?!
スンマセン!!』


慌てた男は、その場から逃げるようにいなくなった。


こんなところでマツなんかに会ったって、言い訳の一つだってする気さえない。


どうせ何を言ったところで、連れ戻されるのがオチだ。



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