粉雪
ねぇ、隼人…


あたしが悪かったのかなぁ?


この時、素直に別れてれば良かった?


だってあんな未来、想像出来るわけないよ。




家に帰っても苛立ちが抑えられず、今度食器を割ったのはあたしの方だった。



“賢治くん、毎日激しくて困るのよね”


香澄の言葉が頭を支配し、殺してやりたい衝動を抑え切れなかった。




―ガチャ…

『―――ッ!』


帰ってくるなり隼人は、目を見開いた。



『…ちーちゃんが…やったの…?』


散乱した食器のガラス片の中で座り込むあたしに、戸惑うように聞いて来て。


ただもぉ、笑いばかりが込み上げてくる。



「あははははっ!
楽しすぎて困っちゃう~!」



人間、ホントに狂うと笑うしかなくなるらしい。


まさにあたしは、“狂気”そのものだった。



『何があったの!?
マツに何かされたの?!』


「よくそんなことが言えるね?!
今日、あたしの所に来たよ?」


“安西香澄!”


そう続けるあたしに、瞬間、隼人は目を見開いて。



『…何で…』


「…ねぇ、隼人…。
あたしが一番なんだよね?
そうなんだよね?」


縋り付くことしか出来なくて。



『当たり前だろ?!
あのクソアマが…!』


そう言った隼人の顔は、殺気さえ滲ませていて。


もぉ本当に、メチャクチャすぎて。



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