粉雪
真実
『…ちーちゃん、行って来るから…。』


「…うん…」



あの日から、あたし達の間には張り詰めた空気が流れていた。


お互いに、そのことに触れるのはタブーのようになっていて。


ただ、壊れてしまわないようにと必死だった。


だけど、それより心配なのは隼人の体だ。


昔の自信に満ちた姿なんか想像出来ないほどに、覇気がない。



あれ以来、あたしは仕事を休み続けていて。


毎日ただ、隼人の帰りだけを待つ生活。


刻一刻と迫り来る日を、ただ唇を噛み締めて待ち続けていたんだ。




そしてついに、その日は来た。


今日があの、約束の日。



♪~♪~♪

着信:隼人


慌ててあたしは、通話ボタンを押した。



―ピッ…

「…はい。」


『…これから帰る。
ちーちゃんに、大事な話があるから。』


「―――ッ!」



その瞬間、全てを悟った。


心臓の音は、次第に早さを増して。


落ち着けるようにあたしは、息を吸い込み吐き出して。



「…わかった。
気をつけてね?」


静かに終話ボタンを押し、煙草を咥えた。



長かった…


だけど今日、全てが終わったんだ…!


あの女に復讐出来ると思うと、笑いさえ込み上げてくる。




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