粉雪
雨に打たれた真っ赤な傘は、道端に転がっていた。
隼人の流れ出る鮮血は、まるでその場所に行こうとするように見えて。
離れた場所に転がる隼人の傘が、
そのままあたし達の距離を表しているようだと思った。
「…嘘…でしょ…?」
冷たくなった隼人の体を抱き、揺らし続けたのに、
隼人が再びあたしに笑顔を向けることはなかった。
「ねぇ、起きてよ!!
独りで死ぬなんて許さない!!」
隼人はただ、悲しそうに笑うばかりだった。
海に行く約束も、“ずっと傍に居る”って約束も守ってくれない。
隼人はあたしに嘘なんかつくような男じゃなかったのに。
散々刺されても、死ななかったのに。
こんなの…
嘘に決まってるよ…!
折角これから、二人で幸せになれると思ったのに。
なのに隼人は、いつまで経っても目を覚まさなくて。
「…嘘つき…」
こんな現実、あたしは受け止めきれないよ。
隼人が居ない世界でなんて、あたしは生きられない。
次第に隼人の体は、熱を失っていって。
あたしの涙は、この雨のように枯れ果てることはなかった。
隼人の流れ出る鮮血は、まるでその場所に行こうとするように見えて。
離れた場所に転がる隼人の傘が、
そのままあたし達の距離を表しているようだと思った。
「…嘘…でしょ…?」
冷たくなった隼人の体を抱き、揺らし続けたのに、
隼人が再びあたしに笑顔を向けることはなかった。
「ねぇ、起きてよ!!
独りで死ぬなんて許さない!!」
隼人はただ、悲しそうに笑うばかりだった。
海に行く約束も、“ずっと傍に居る”って約束も守ってくれない。
隼人はあたしに嘘なんかつくような男じゃなかったのに。
散々刺されても、死ななかったのに。
こんなの…
嘘に決まってるよ…!
折角これから、二人で幸せになれると思ったのに。
なのに隼人は、いつまで経っても目を覚まさなくて。
「…嘘つき…」
こんな現実、あたしは受け止めきれないよ。
隼人が居ない世界でなんて、あたしは生きられない。
次第に隼人の体は、熱を失っていって。
あたしの涙は、この雨のように枯れ果てることはなかった。