粉雪
病院で医師から“死亡”を確認され、あたしは血まみれで泣き続けた。



勝手に葬儀屋が来て、勝手に隼人の“お葬式”が始まって。



あたしには、ついていくことが出来なかった。



葬儀屋が勝手に選んだ写真は、最初で最後の隼人の笑顔。



隼人とたった二人で、葬儀をあげた。



今も鮮明に覚えているのは、隼人が出棺される時。



あたしは必死で抵抗し、泣き続けた。



散々叫びまわり、暴れまわったあたしは、葬儀屋の人達に総出で止められた。




隼人の骨を拾いながら、“これは隼人じゃない”って思い続けてた。



火葬場その場所はひどく暑くて、冬なのに熱気に満ちていた。



骨になった隼人に、今までの面影はない。



あたしを抱き締める強い腕も、困ったように笑いかける笑顔も、何にもなかった。




その瞬間、後悔ばかりが襲った。



最期の瞬間、嘘でもあたしが笑っていれば…


別れていれば…


あたしが着いていかなければ…




ごめんね…


セブンスターも一緒に入れてあげれば良かったのに…。


泣いてばかりで、何も気付けなかった…。




本当に、その頃の記憶は曖昧で、断片的な物を繋ぎ合わせることしか出来ない。


ただ、隼人の“死”を受け入れることが出来なかったんだ。



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