粉雪
『―――お話を、聞かせてもらえますか…?』



今まで気を使って何も言わなかった警察は、全てが終わり、あたしに声を掛けて来た。


そして、支えられるようにして警察署に連れて行かれた。







『…前に一度、聞いたな?
お前は、小林隼人と内縁関係だった。
そうだろ?』


「…答えられません…。」




答えたくなかった。


肯定することなんて出来ない。


だけど、否定すれば、何もかもが嘘だったみたいで。




「…お願い…隼人に会わせて…?
約束…したから…。」



“ずっと傍に居る”


約束したのに、隼人は一人で居なくなってしまった。


なのに男は、何も言ってはくれなくて。




『…管理会社に連絡を取って、家宅捜索した。
携帯の名義は別人。
これは、どう説明する?』


「…隼人に…会いたい…」



男の声なんて、あたしまでは届かなくて。


―バン!

『いい加減にしろ!!
アイツは死んだんだ!!』


「嫌ー!!!」



耳を塞ぎ、泣き叫んだ。


口に出して言われることが、どれほどあたしに突き刺さるだろう。


きっと今家に帰れば、絶対隼人は待っててくれてる、って。


そう思い続けてた。


そう思うことでしかあたしは、自分自身を保てなかったんだ。


結局また、保釈された―――…




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