粉雪
金平糖…


ちーちゃんは多分、何もかも気付いていたと思います。


それでも何も言わず、俺の傍に居て笑っててくれた。



正直、辛かったよ。


ちーちゃんを苦しめたい訳じゃないのに…。


いつもちーちゃんの事、泣かせることしか出来なかった。




笑ってるちーちゃんが好きだった。


でも、無理して笑ってるちーちゃんを見るのは、耐えられなかったんだ。




アンパン喰ってたのも、怖くて逃げたかっただけなんだ。


俺は、本当に弱い人間だから。



金平糖なんかで償えるとは思ってないけど、忘れたくないから。





それから、ちーちゃんのお母さんの居場所は、マツが知ってます。


会うか会わないかは、ちーちゃんが決めて?



俺は、ちーちゃんからお母さんを取り上げた。


“工藤浩一郎”の名前を聞いて、すぐに居場所は掴めたよ。


金払って、お母さんと工藤を別れさせたのは、この俺です。



そして、お母さんに全てを押し付けた。



ちーちゃんの“帰る場所”が怖かったんだ。


それに、ちーちゃんを保証人にしたお母さんが許せなかった。


ただ、ちーちゃんを俺だけに繋ぎとめておきたかった。



ちーちゃんの昔の仲間を殺したのも、

ちーちゃんに“過去”なんて必要ないと思ったからなんだ。


そんな俺に、ちーちゃんは何も言わなかったね。




ちーちゃんから全てを奪ったんだ。


今更、恨まれても仕方ないと思ってるよ。




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