粉雪
―――着いた場所は、前に一度だけ隼人と来た海。
その場所に、隼人の遺骨の一部を撒いた。
ねぇ、隼人…
ゆっくり海でも見てね…?
隼人は灰になって空に舞い、風と一緒に消えて行った。
波が穏やかで、まるで隼人が笑ってるみたい。
『…何で、海なんだ?』
「…隼人はゆっくり海なんか眺めたことがないんだって…。」
『…そう。
でも今は、俺と居るアンタ見て、気が気じゃないかもな。』
風に舞う灰を見ながら、マツは少しだけ笑って空を見上げた。
「ははっ、そうかもね。」
沈み行く西日が、やけに眩しかったことだけは覚えている。
いつかのあの日と全く同じ景色なのに、隣に立つのは隼人じゃない。
『…もぉ“一緒に逝きたい”って思わないの?』
「…良いよ、散々待たされたんだし。
少しくらい待たせたって、あの人怒らないよ。」
『…そう。』
マツは、それ以上何も言わなかった。
ねぇ、隼人…
そっちは寂しい…?
あたしも寂しいけどさぁ、もーちょっとだけ待ってよ。
あたしがそっちに行ったら、イッパイ相手してあげるから。
死ぬことは簡単だけど、あたしはもぉちょっと生きてみようと思うんだ。
ねぇ隼人…
こんなこと言ったら、あたしのこと怒る…?
海を眺めていると、自然と“死にたい”と思うことはなくなった。
あたしが死んだら、マツは本当に“独り”になってしまうから。
独りの寂しさは痛いくらいに分かるから、あたしにはそんなこと出来ないんだ。
ごめんね、隼人…
その場所に、隼人の遺骨の一部を撒いた。
ねぇ、隼人…
ゆっくり海でも見てね…?
隼人は灰になって空に舞い、風と一緒に消えて行った。
波が穏やかで、まるで隼人が笑ってるみたい。
『…何で、海なんだ?』
「…隼人はゆっくり海なんか眺めたことがないんだって…。」
『…そう。
でも今は、俺と居るアンタ見て、気が気じゃないかもな。』
風に舞う灰を見ながら、マツは少しだけ笑って空を見上げた。
「ははっ、そうかもね。」
沈み行く西日が、やけに眩しかったことだけは覚えている。
いつかのあの日と全く同じ景色なのに、隣に立つのは隼人じゃない。
『…もぉ“一緒に逝きたい”って思わないの?』
「…良いよ、散々待たされたんだし。
少しくらい待たせたって、あの人怒らないよ。」
『…そう。』
マツは、それ以上何も言わなかった。
ねぇ、隼人…
そっちは寂しい…?
あたしも寂しいけどさぁ、もーちょっとだけ待ってよ。
あたしがそっちに行ったら、イッパイ相手してあげるから。
死ぬことは簡単だけど、あたしはもぉちょっと生きてみようと思うんだ。
ねぇ隼人…
こんなこと言ったら、あたしのこと怒る…?
海を眺めていると、自然と“死にたい”と思うことはなくなった。
あたしが死んだら、マツは本当に“独り”になってしまうから。
独りの寂しさは痛いくらいに分かるから、あたしにはそんなこと出来ないんだ。
ごめんね、隼人…