粉雪
『でも、マツさんアレだよね!
松田翔太に似てる!!(笑)』


「あ~!似てる!!(笑)」


ルミの言葉に、一緒になって指を差した。



『ハァ?誰だよ?!
つーか、もちろんカッコいいんだろ?』


「あははっ!本物はね!(笑)」


『てめぇ、一言多いんだよ!
つーか、マジでそーゆーとこ似過ぎなんだよ!』



マツが言うには、どうやらあたしは隼人に似てるらしいけど。


その辺は、イマイチ自覚がない。



「…マッちゃん、怖いし。
何でそんなに口悪いの~?」


『うるせぇよ!
俺はあの人とは違うんだよ!』



マツはマツなりに、精一杯隼人を越えようとしているんだと思う。


だけどあたしには、マツじゃやっぱり隼人の代わりにはなれないんだ。




『つーか、社長とママってどーゆー関係なんすか?』


今まで黙っていたマツの従業員が口を開いた。



『あぁ、あれは確か、俺が高校の頃だったよなぁ~。』


『アレ?
社長この前、“高校行ってない!”って言ってたっしょ?』


キョトンとした従業員が聞いてきて。


瞬間、マツは口元を引き攣らせる。



『…てめぇ、うるせぇんだよ!』


「あははっ!マツ、馬鹿じゃん!
やっぱりアンタには、嘘は向いてないよ。」


『…千里も黙っとけよ…。』


マツはあからさまにため息をついた。



本当にマツは、人間を使うのが上手い。


そこは、隼人以上だと思う。


だけど、やっぱり嘘は苦手みたいだ。



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