粉雪
『ママ~、酒!』
常連客の柴田さんが、赤い顔をしてグラスを持ち上げた。
「ダーメ!
今日は帰りなよ!
奥さん、待ってるんでしょ?」
『…良いよ、放っときゃ…。』
喧嘩でも、したのかな…?
「ダメだって!
それに、待たされるのも結構辛いんだよ?
明日奥さん死んだら、柴田さん後悔することになるよ?」
『…わかったよ…。
ったく…ママには敵わねぇな…。』
立ち上がり、会計を済ませた柴田さんを見送った。
まるで、自分自身に重ね合わせてるみたいな台詞。
だけど、もぉ誰にもあたしみたいな想いはして欲しくないんだ。
『…聞いてる方が耳が痛いな…。』
あたしを見て、マツはため息を混じらせた。
「…でも、本当のことだから…。
心配しながら待つの、嫌いだったんだ。」
『…可哀想な事するよ、あの人も…。』
「…ホントだよ…」
マツはあたし達のこと、ずっと傍で見てきたもんね…。
『…やっぱ、俺があの時止めときゃ良かったんだな…。』
「―――ッ!」
瞬間、あたしは唇を噛み締めて。
「…それ以上言わないで…。
あれは、マツの所為じゃないから…。」
隼人が死んだのは、誰の所為でもない…。
『…お前の所為でもないぞ…?』
「…わかってるよ。
ありがとね…。」
こんな会話を、もぉ何度繰り返しただろう。
いつもいつも、“あの時…”って思ってしまう。
常連客の柴田さんが、赤い顔をしてグラスを持ち上げた。
「ダーメ!
今日は帰りなよ!
奥さん、待ってるんでしょ?」
『…良いよ、放っときゃ…。』
喧嘩でも、したのかな…?
「ダメだって!
それに、待たされるのも結構辛いんだよ?
明日奥さん死んだら、柴田さん後悔することになるよ?」
『…わかったよ…。
ったく…ママには敵わねぇな…。』
立ち上がり、会計を済ませた柴田さんを見送った。
まるで、自分自身に重ね合わせてるみたいな台詞。
だけど、もぉ誰にもあたしみたいな想いはして欲しくないんだ。
『…聞いてる方が耳が痛いな…。』
あたしを見て、マツはため息を混じらせた。
「…でも、本当のことだから…。
心配しながら待つの、嫌いだったんだ。」
『…可哀想な事するよ、あの人も…。』
「…ホントだよ…」
マツはあたし達のこと、ずっと傍で見てきたもんね…。
『…やっぱ、俺があの時止めときゃ良かったんだな…。』
「―――ッ!」
瞬間、あたしは唇を噛み締めて。
「…それ以上言わないで…。
あれは、マツの所為じゃないから…。」
隼人が死んだのは、誰の所為でもない…。
『…お前の所為でもないぞ…?』
「…わかってるよ。
ありがとね…。」
こんな会話を、もぉ何度繰り返しただろう。
いつもいつも、“あの時…”って思ってしまう。