粉雪
『…ちーちゃんってさぁ、女子高生っぽくねぇよな。
落ち着いてるし。』


「…素直に“冷めてる”って言えば?」



“ひねくれ者”


そんな言葉は、聞き飽きた。


それにあたしだって別に、好きで“女子高生”をやっているわけじゃない。



「…父親は女作って出て行って以来、音信不通。
母親は、父親が付けた名前が気に入らないからって、あたしのこと嫌ってるし。
そりゃー、人生に期待なんてして生きられないよ。」


何も言わない隼人に、初めて自分のことを話した。



『…だから、家出資金貯めてるの?』


「そんなカンジ。」


自傷気味に笑うことしか出来ない。



『…そっか。
嫌なことあったら、絶対電話して来いよ?』


「…うん…。」



“同情なんて、されたくない!”


ずっとそんな風に生きてきたのに、隼人はあたしに“可哀想”なんて言わなかった。


だから少し、調子が狂ってしまう。


外はまた雲行きが怪しくなり始め、バラードの曲が余計にあたしを切なくさせた。




「…雨、降るかな…?」


初めて自分から、話を振った。



『どーだろうな。
嫌い?雨。』


「…好きじゃない…。」



雨が降ると、余計に“一人ぼっち”に感じてしまうから。


それは今も、変わってないよ?


< 27 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop