粉雪
『…俺、脈なし?』


「…さぁね。
アンタ次第だよ…。」


クスッと笑い、マツのメンソールを抜き取った。


今ではもぉ、こんな行動も何も言われない。



『…俺は俺だし、隼人さんは隼人さんだから。
一緒にするなよ。』


「…してないよ。
隼人、メンソール嫌いだもん。」



だけど、マツの煙草にもすっかり慣れてしまった自分が居た。


こんなことばかりが“当たり前”になる。




『煙草の話じゃねぇだろ?!』


「…わかってるって…。」


ははっと笑い、置いておいたお酒をマツの机の上に置く。



『…ったく、クソガキに良いように遊ばれてる俺も、どーかしてるよ。』


そう言うとマツは、悔しそうにアルコールを流し込んで。



「あははっ!頼りにしてるよ、お兄ちゃん♪」


『うっせぇよ、馬鹿!』


それっきり、マツは言葉を飲み込んで。


何かを考えるようにして、沈黙が流れた。



『…ホントはな、もぉ一個、お前に渡さなきゃいけない物があるんだ。
でも、未だに迷ってる。』


ためらいがちに口を開いたマツは、バッグからCD-ROMを取り出した。



「…何、コレ…?」


『…隼人さんが死ぬまでの間、何をやってたかが、ここに全部記されてる。
体張って、それこそ命掛けて集めた情報だ。』


「―――ッ!」



安西香澄を使い、手に入れた情報。


途端に、胸が苦しくなった。



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