粉雪
『…千里。
お前は隼人さんから、どこまで聞いた?』


そんなあたしに、マツは確認するように聞いてきて。



「…多分、ほとんど何も聞いてないと思うよ。
あの人結局、何も言ってくれなかったから…。」


『…そっか。
この話だけは避けてたけど…。
聞きたいか…?』


ゆっくりと、マツは聞いてきた。


正直、あの頃よりは受け止められるのかもしれないけど。


だけど、今更聞かされたって、どうすることも出来ない。


目を伏せ考え込むあたしに、マツは言葉を掛けた。



『…悪ぃ…。
やっぱ、良いよ。
いつかお前が、受け止められるようになったら教えてやる。』


「―――待って!
やっぱ、教えて!
隼人の生きてきた道、知りたいから…!」


『…わかった…。』


そう言うと、マツは煙草を咥え、何かを考えるように押し黙った。


沈黙ばかりが続いて。


マツの煙草を吸う吐息だけが聞こえ続ける。



「…隼人の集めた情報ね?
どこまで真実か、わからないよ。
河本が言ってたから…。」


先に口を開いたのあたしだった。


今までマツには、どうしても言えなかった。


必死であたし達を見守り続けてきたマツに、

“その情報が間違いかもしれない”なんて言えなかったんだ。


そしたら何のために、みんなが傷ついたのかがわからなくなる。


瞬間、マツは驚いたようにあたしに向き直って。



『どーゆー意味だ?!
河本と会ったのか?!』


コクリと頷きあたしは、言葉を続けた。



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