粉雪
クリスマス
♪~♪~♪
着信:隼人
夜の10時、あたしのファミレスのバイトが終わるのを見計らったように、
隼人からの電話が鳴った。
―ピッ…
『ちーちゃん、おつかれ!!』
「…おつ。」
毎日あたしのバイトが終わると電話をしてくる理由は、
“ちーちゃんが夜道を一人で歩いて帰るのが、危ないから”らしい。
だけど、あたしには、“隼人が暇だから”だとしか思えなかった。
『明日の予定は?』
コレは、最近の隼人の決まり文句だ。
「学校が終業式~。
で、その後はファミレス。
多分夜には、母親の店手伝うことになると思う。」
『…学校最後だろ?
たまにはバイト休んで、友達と騒げば良いのに。』
隼人は、何かとあたしを気にかけてくれていた。
だけど悲しいかなあたしは、この生活をやめることは出来ない。
「…残念だけど、バイト休めないんだよね。
クリスマスイブはかき入れ時だし!
それに、休む子多いんだよ。」
あたしには、“お金を稼ぐこと”の他に、優先させるものがないだけ。
だからあたしには、天皇誕生日も、イブも、キリストの誕生日も祝う暇はなかった。
『…明日さぁ、1時間とかでも良いから空けれない?』
ためらいがちに聞かれた。
「あー…、ファミレス終わったら、1時間くらいなら大丈夫だと思うけど?」
『じゃあ、1時間だけ俺にちょうだい?』
「…良いけど…」
帰り道沿いにある街路樹は、クリスマスのイルミネーションで彩られ、
隼人の言葉に少しだけ動揺してしまった。
携帯を持つ左手は冷たいのに、不覚にも早くなる心臓の所為で、
そんなことも気にならない。
『よっしゃ!
じゃあ、バイト終わったら迎えに行くわ!』
「…うん…。」
隼人の考えていることは、あたしには全くわからなかったが、
毎日電話で話していると、いつの間にはあたしの中の壁は消えている気がした。
だから、こんな約束でも、“嫌だ”なんて思わなかったんだ。
着信:隼人
夜の10時、あたしのファミレスのバイトが終わるのを見計らったように、
隼人からの電話が鳴った。
―ピッ…
『ちーちゃん、おつかれ!!』
「…おつ。」
毎日あたしのバイトが終わると電話をしてくる理由は、
“ちーちゃんが夜道を一人で歩いて帰るのが、危ないから”らしい。
だけど、あたしには、“隼人が暇だから”だとしか思えなかった。
『明日の予定は?』
コレは、最近の隼人の決まり文句だ。
「学校が終業式~。
で、その後はファミレス。
多分夜には、母親の店手伝うことになると思う。」
『…学校最後だろ?
たまにはバイト休んで、友達と騒げば良いのに。』
隼人は、何かとあたしを気にかけてくれていた。
だけど悲しいかなあたしは、この生活をやめることは出来ない。
「…残念だけど、バイト休めないんだよね。
クリスマスイブはかき入れ時だし!
それに、休む子多いんだよ。」
あたしには、“お金を稼ぐこと”の他に、優先させるものがないだけ。
だからあたしには、天皇誕生日も、イブも、キリストの誕生日も祝う暇はなかった。
『…明日さぁ、1時間とかでも良いから空けれない?』
ためらいがちに聞かれた。
「あー…、ファミレス終わったら、1時間くらいなら大丈夫だと思うけど?」
『じゃあ、1時間だけ俺にちょうだい?』
「…良いけど…」
帰り道沿いにある街路樹は、クリスマスのイルミネーションで彩られ、
隼人の言葉に少しだけ動揺してしまった。
携帯を持つ左手は冷たいのに、不覚にも早くなる心臓の所為で、
そんなことも気にならない。
『よっしゃ!
じゃあ、バイト終わったら迎えに行くわ!』
「…うん…。」
隼人の考えていることは、あたしには全くわからなかったが、
毎日電話で話していると、いつの間にはあたしの中の壁は消えている気がした。
だから、こんな約束でも、“嫌だ”なんて思わなかったんだ。