粉雪
―――翌朝起きて、学校に行った。


出席を取り、ホームルームを済ませると、

体育館へ行く人並みに逆行して、保健室に向かった。


学校は、あたしにとっては寝る場所以外に思えない。





―ガラガラ…

『あら、酒井さん?
また貧血?』


保健室の若い先生は、度々来るあたしを、真剣に心配してくれていた。


あからさまにこめかみを押えながら、ため息をつく。



「…うん、終業式出れそうもないから…。」


『…そう、わかったわ。
担任の先生には連絡しておくから。
先生も式に出ないといけないんだけど、一人にしておいても大丈夫かしら…?』


先生は、あたしの嘘に頭を抱えて悩んでいた。


戸惑う顔は、新任だからなのだろうか。



「…大丈夫だよ、寝てれば治るから。」



眠いんだから、寝てれば良いだけのことだ。



『じゃあ、奥のベッド使ってね?』


そう言うと、先生は静かに部屋を出た。


今日は、ハードになる予定だし、体力温存しとかなきゃ。




―ブィーン、ブィーン…

ポケットに入れてある携帯が振動した。


着信:隼人



…朝っぱらから、何なのよ…!


ディスプレイを確認し、

あたしの着信履歴をほとんど埋め尽くしている見慣れた名前に、ため息をついた。



―ピッ…

「はい?」



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