粉雪
『ハイ、これ。』
「…どーも。」
バスタオルを渡されても、何となく困ってしまう。
『今、風呂の湯溜めてるから。
つーか、服脱げよ。』
言われた通り、コートを脱いだ。
『…あ、服ないんだよな。
ちょっと待ってろよ!』
思い出したようにそう言うと、男は違う部屋に行ってしまった。
ポカンと立ち尽くしたあたしは、動くことも出来ないままだ。
何もない部屋に、窓ガラスに当たる雨音だけが聞こえ続けていた。
『俺のTシャツとかで良かった?
脱衣所で着替えて来いよ。
濡れたのは洗濯機に入れとけば勝手に乾燥までしてくれるし。』
本当に、雨宿りをさせてくれるだけなんだろうか?
男の優しさは、そんな風にさえ思えてくる。
コクリと頷いて、手渡された男のTシャツを持って脱衣所に向かった。
バタンと閉まった瞬間、大きなため息をついた。
コートのおかげで下着は濡れずに済んだことだけは、幸いだった。
全ての服を脱ぎ捨て、下着姿になったあたしは、
大きすぎる男物のTシャツを頭から被った。
それは、冷えきった体に温もりを感じる瞬間だった。
柔軟剤の香りが優しくて、
これから待ち受けているであろうことも、自然と受け入れられる気がしてくる。
―ガチャ…
ゆっくりと扉を開き、男の待つ部屋へと戻った。
「…どーも。」
バスタオルを渡されても、何となく困ってしまう。
『今、風呂の湯溜めてるから。
つーか、服脱げよ。』
言われた通り、コートを脱いだ。
『…あ、服ないんだよな。
ちょっと待ってろよ!』
思い出したようにそう言うと、男は違う部屋に行ってしまった。
ポカンと立ち尽くしたあたしは、動くことも出来ないままだ。
何もない部屋に、窓ガラスに当たる雨音だけが聞こえ続けていた。
『俺のTシャツとかで良かった?
脱衣所で着替えて来いよ。
濡れたのは洗濯機に入れとけば勝手に乾燥までしてくれるし。』
本当に、雨宿りをさせてくれるだけなんだろうか?
男の優しさは、そんな風にさえ思えてくる。
コクリと頷いて、手渡された男のTシャツを持って脱衣所に向かった。
バタンと閉まった瞬間、大きなため息をついた。
コートのおかげで下着は濡れずに済んだことだけは、幸いだった。
全ての服を脱ぎ捨て、下着姿になったあたしは、
大きすぎる男物のTシャツを頭から被った。
それは、冷えきった体に温もりを感じる瞬間だった。
柔軟剤の香りが優しくて、
これから待ち受けているであろうことも、自然と受け入れられる気がしてくる。
―ガチャ…
ゆっくりと扉を開き、男の待つ部屋へと戻った。