粉雪
『―――入って~!』


二度目に訪れた隼人の部屋だったけど、相変わらず何もない。


辺りを見回しながら、部屋の奥に足を進めた。



「…何で、ツリーがあるの?」


部屋の真ん中には、

手の平サイズのクリスマスツリーが床の上にちょこんと置かれていた。


それを指差しながらあたしは、顔を傾ける。



『…さっき、そこで買ってきたの。』


「アホだね。」


皮肉っぽく笑ってやった。



『そ?可愛いじゃん♪』



だったら、床に置くなよ。


言いかけたけど、止めといた。


だってここには、机がないから。




『ちーちゃん、プレゼントな?』


そう言って隼人が奥の部屋から持ってきたのは、お菓子の詰まったブーツだった。



「…ありがと。」


プレゼントなんて、久しく貰っていなかったあたしは、何となく照れてしまう。


だけどこの男がどんな顔をしてこれを買ったのかを想像すると、

少しだけ可笑しくなってしまった。




『…で、こっちがホントのプレゼント♪』


そう言うと、隼人は床に転がっていた黒の紙バッグを手渡してきた。



「…何が入ってるの?」


不思議に思い覗き込むと、ジュエリーボックスがあった。



『…開けてみ?』


コクリと頷いて、手を伸ばした。



「―――ッ!」


中身を見て、驚きのあまり言葉を失った。



「…受け取れないよ…!」


だけど見上げた隼人の顔は、どこか満足そうだった。



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