粉雪
箱を開けると、そこにはダイヤのネックレスが入っていた。
小さな十字架だけど、とても安物には見えなかった。
その輝きと隼人の顔を交互に見比べながら、困ったまま固まってしまう。
『お菓子のついでにね♪』
この男は、絶対に順番が間違っている。
「…ごめん、無理。」
そう言って、隼人につき返した。
この男の考えていることが、全く分からない。
『ちーちゃんに似合うと思ったから買っただけだし。
気にする事ねぇから。
てゆーか、男の好意は素直に受け取るのが礼儀だぞ?(笑)』
「―――ッ!」
まるでそれが当たり前のように言う隼人に心臓が音を立て、
だけどそれすらも戸惑ってしまう。
あたしに向けられた視線から逃げるように目を逸らし、言葉を探す。
「…でも、高いんじゃないの?」
『…だからさぁ、気にするなって!
それに女は良い物つけてねぇと、どんなに良い女も輝かねぇぞ?』
困ったように言い、箱からネックレスを取り出すと、勝手にあたしの首に合わせた。
首筋に当たる金属の冷たさも、スカルプチャーの香りも。
その全ての所為で、余計に鼓動が早くなる。
「…あたし、“良い女”じゃないから。」
首の後ろの金具を止める隼人の顔が近くて、あたしは目を伏せた。
『自分の価値、下げんなよ!
いらねぇなら捨てとけば良いから。』
こんなもの、捨てられるわけがない。
だけどあたしには、こんな輝きなんて不似合いだ。
「…ごめん、あたし、隼人にあげるもんない。」
『あははっ!いらねぇよ?
俺に金使う必要ねぇからな?
俺は、ちーちゃんの喜んだ顔だけで満足だし!
だから、嘘でも嬉しい顔しといて?』
「…ありがと…」
急に心臓が音を立て、逃げるように足を一歩引いた。
♪~♪~♪
瞬間、あたしの緊張を打ち破るように、携帯が鳴った。
着信:母親
「―――ッ!」
ディスプレイを確認し、少しの安堵感が生まれた。
「…ごめん、そろそろ時間みたい…。」
小さな十字架だけど、とても安物には見えなかった。
その輝きと隼人の顔を交互に見比べながら、困ったまま固まってしまう。
『お菓子のついでにね♪』
この男は、絶対に順番が間違っている。
「…ごめん、無理。」
そう言って、隼人につき返した。
この男の考えていることが、全く分からない。
『ちーちゃんに似合うと思ったから買っただけだし。
気にする事ねぇから。
てゆーか、男の好意は素直に受け取るのが礼儀だぞ?(笑)』
「―――ッ!」
まるでそれが当たり前のように言う隼人に心臓が音を立て、
だけどそれすらも戸惑ってしまう。
あたしに向けられた視線から逃げるように目を逸らし、言葉を探す。
「…でも、高いんじゃないの?」
『…だからさぁ、気にするなって!
それに女は良い物つけてねぇと、どんなに良い女も輝かねぇぞ?』
困ったように言い、箱からネックレスを取り出すと、勝手にあたしの首に合わせた。
首筋に当たる金属の冷たさも、スカルプチャーの香りも。
その全ての所為で、余計に鼓動が早くなる。
「…あたし、“良い女”じゃないから。」
首の後ろの金具を止める隼人の顔が近くて、あたしは目を伏せた。
『自分の価値、下げんなよ!
いらねぇなら捨てとけば良いから。』
こんなもの、捨てられるわけがない。
だけどあたしには、こんな輝きなんて不似合いだ。
「…ごめん、あたし、隼人にあげるもんない。」
『あははっ!いらねぇよ?
俺に金使う必要ねぇからな?
俺は、ちーちゃんの喜んだ顔だけで満足だし!
だから、嘘でも嬉しい顔しといて?』
「…ありがと…」
急に心臓が音を立て、逃げるように足を一歩引いた。
♪~♪~♪
瞬間、あたしの緊張を打ち破るように、携帯が鳴った。
着信:母親
「―――ッ!」
ディスプレイを確認し、少しの安堵感が生まれた。
「…ごめん、そろそろ時間みたい…。」