粉雪
『…とりあえず飯だったよな?
焼肉とかで良い?
ちーちゃん、スタミナ必要だしな!』
「…うん。」
こんな時まであたしの心配をする隼人に、戸惑ってしまう。
隼人が真っ当な仕事をしていれば、
あたしは何も考えずに隼人のことを好きになっていたかもしれないのに…。
店に入るとすぐに、隼人はトイレに立った。
仕事用の携帯を握り締め、目つきは殺気立っていた。
これから、あたしの知らないところで何を話すのかはわからない。
だけどあたしにも、“良い話”じゃないことくらいはわかる。
胸騒ぎばかりがしたが、あたしは“普通”を装い続けた。
あたしには、“やめて”なんて言う理由も、その資格もないのだから。
『―――お!肉来てんじゃん!
俺なんか待たずに、焼いてれば良かったのに!(笑)』
トイレから戻ってきた隼人は、いつもの隼人だった。
だから余計に、戸惑うことしか出来ない。
「…うん。
隼人、大丈夫だった…?」
『あぁ、仕事?
うん、まぁね。』
隼人が言葉を濁すから、あたしはそれ以上は聞くことが出来なかった。
『ちーちゃん、どっか良い家具屋知らない?』
「あー…、スポーツクラブの裏にあるのは知ってるけど…。
高いらしいよ?」
本当は、先ほどの隼人の顔が脳裏を支配していたが、そのことに目を背け続けた。
本当は、聞きたいと思う。
だけどそれ以上に、聞くことが怖い。
『じゃあ、そこね♪
高いってことは、良い物あるんでしょ?』
「…知らないけど…。
あるんじゃない…?」
“貯金しろ”って言ったのに…。
だけど結局、あたしのお金じゃないから何も言えない。
焼肉とかで良い?
ちーちゃん、スタミナ必要だしな!』
「…うん。」
こんな時まであたしの心配をする隼人に、戸惑ってしまう。
隼人が真っ当な仕事をしていれば、
あたしは何も考えずに隼人のことを好きになっていたかもしれないのに…。
店に入るとすぐに、隼人はトイレに立った。
仕事用の携帯を握り締め、目つきは殺気立っていた。
これから、あたしの知らないところで何を話すのかはわからない。
だけどあたしにも、“良い話”じゃないことくらいはわかる。
胸騒ぎばかりがしたが、あたしは“普通”を装い続けた。
あたしには、“やめて”なんて言う理由も、その資格もないのだから。
『―――お!肉来てんじゃん!
俺なんか待たずに、焼いてれば良かったのに!(笑)』
トイレから戻ってきた隼人は、いつもの隼人だった。
だから余計に、戸惑うことしか出来ない。
「…うん。
隼人、大丈夫だった…?」
『あぁ、仕事?
うん、まぁね。』
隼人が言葉を濁すから、あたしはそれ以上は聞くことが出来なかった。
『ちーちゃん、どっか良い家具屋知らない?』
「あー…、スポーツクラブの裏にあるのは知ってるけど…。
高いらしいよ?」
本当は、先ほどの隼人の顔が脳裏を支配していたが、そのことに目を背け続けた。
本当は、聞きたいと思う。
だけどそれ以上に、聞くことが怖い。
『じゃあ、そこね♪
高いってことは、良い物あるんでしょ?』
「…知らないけど…。
あるんじゃない…?」
“貯金しろ”って言ったのに…。
だけど結局、あたしのお金じゃないから何も言えない。