粉雪
隼人は家具屋で、あたしが“可愛い”と言ったガラステーブルを、本当に買った。
他にもパソコンのデスクや本棚まで買い、それを全てキャッシュで支払った。
だけどあたしは見たくなくて、会計の時にトイレに逃げた。
大金を当たり前の様に持ち歩く隼人は、
やっぱり“普通の高校生”のあたしと関わってはいけないんだ。
帰れば良い筈なのに、帰れない。
帰りたくない。
いい加減、自分でも気付いていた。
いつもあたしは、隼人からの電話ばかりを待っている―――…
「―――お金、払い終わった…?」
『おー!明日には全部運ばせることになったから!
そしたら、ちょっとは普通の部屋になるかな?』
「ははっ、なるんじゃない?」
笑っていても、気持ちがついていけない。
『俺の用事済んじゃった。
ちーちゃん、買い物するんだったよね?
駅ビルとか?』
「…うん。」
正直、お金があったとしても、今は買い物をする気にはなれない。
どこだって、何を見たって一緒に見える。
『…疲れてる?』
「―――ッ!」
手放していた意識を手繰り寄せ、泳ぐ視線の焦点を定めた。
「…うん、ちょっと…」
気付かないうちに、顔に出ていたのかもしれない…。
急いであたしは、口角を上げた。
『…ごめんな?付き合わせて…。』
「そんなことないよ?」
だってこれは、“ネックレスのお礼”なんだから。
他にもパソコンのデスクや本棚まで買い、それを全てキャッシュで支払った。
だけどあたしは見たくなくて、会計の時にトイレに逃げた。
大金を当たり前の様に持ち歩く隼人は、
やっぱり“普通の高校生”のあたしと関わってはいけないんだ。
帰れば良い筈なのに、帰れない。
帰りたくない。
いい加減、自分でも気付いていた。
いつもあたしは、隼人からの電話ばかりを待っている―――…
「―――お金、払い終わった…?」
『おー!明日には全部運ばせることになったから!
そしたら、ちょっとは普通の部屋になるかな?』
「ははっ、なるんじゃない?」
笑っていても、気持ちがついていけない。
『俺の用事済んじゃった。
ちーちゃん、買い物するんだったよね?
駅ビルとか?』
「…うん。」
正直、お金があったとしても、今は買い物をする気にはなれない。
どこだって、何を見たって一緒に見える。
『…疲れてる?』
「―――ッ!」
手放していた意識を手繰り寄せ、泳ぐ視線の焦点を定めた。
「…うん、ちょっと…」
気付かないうちに、顔に出ていたのかもしれない…。
急いであたしは、口角を上げた。
『…ごめんな?付き合わせて…。』
「そんなことないよ?」
だってこれは、“ネックレスのお礼”なんだから。