粉雪
『―――ハイ、ちーちゃん、惨敗。』


嬉しそうな隼人の顔に、悔しさが溢れる。



「もぉ一回やる!!」


『…やだし。
てゆーかそれ、3回目~。』


コントローラーを握り締め、唇をへの字に曲げた。


熱中していたあたしは、いつの間にかテレビに近づいていて。



「てゆーか、卑怯じゃん!」


『…だって、そーゆーゲームだし。
諦めなさい!(笑)』


「…隼人、嫌い。」


『ハイハイ。』


半泣きのあたしを見て、隼人は嬉しそうに笑っていた。


睨み付けても、勝ち誇った隼人の顔が崩れることはない。



「…で?
アンタの望みは?」


覚悟を決めて聞いた。


だけど隼人は、戸惑うようにあたしから目線を外す。



『あー…、ビデオ観ない?
その間に考えとくから…。』



何だソレ。


言いだしっぺが、何も考えてなかったの…?


何だか拍子抜けしてしまう。



『暇だから観ようと思って借りたの!
スターウォーズとスパーダーマン、どっちが良い?』


「…スパイダーマン。」


『オッケ。』


言いながら、プレステにDVDを入れた。




『…ちーちゃん、こっちおいで?』


隼人は後ろに下がり、ベッドに背をつけて、あたしを呼んだ。


隼人に言われた場所に座ると、

肩と肩が当たりそうなほど近くて、急に心臓が早くなってしまう。


鳴り止まない心臓に、膝を抱えて顔をうずめた。


隼人がベッドに腕を乗せると、肩でも組まれているような気になってしまう。



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