粉雪
帰る場所
『―――ちーちゃん、そのネックレス、つけてくれてたんだね。』
あたしの首元に着いたネックレスを指で触りながら、隼人は笑顔を向けた。
抱き合うことが、ただ恥ずかしかった。
「…うん、失くしたら困るし。」
『ははっ、すげぇ嬉しい!』
だけど隼人は、いつもみたいに優しく笑ってくれて。
悲しそうじゃなかったから。
それが嬉しかった。
『…なぁ、ちーちゃん。
卒業したら、どーすんの?』
「フリーター予定。
あと1年バイト頑張れば、ファミレスで正社員になれるから。
それまでは今のまま、お金貯める。」
何だか少し、くすぐったいような感覚だった。
目を背けてることくらい、わかってるんだ。
現実から逃げてることくらい、わかってる。
『…家出するんなら、ここで暮らす?』
「…え?」
思ってもみなかった言葉に、目を見開いた。
だけど隼人は、優しく言葉を続ける。
『…ちーちゃんが心配だから…。
ここなら、お金要らないよ?』
「そんなの―――」
あたしの泳がせる目を強く見据え、隼人は言う。
『てゆーか、せめてバイト減らして?
金の心配はしなくて良いから!』
隼人の提案に、正直揺らぎそうになってしまう。
『幸せにする自信はないけど、その分、人より良い生活させる自信はあるから。』
言葉の出ないあたしに、隼人は続けた。
優しく、だけどどこか悲しそうに。
『…だから、俺の“帰る場所”になって?』
「―――ッ!」
そして、抱き締める腕に力が込められて。
あたしの肩に顔をうずめる隼人に、ただ戸惑うことしか出来なかった。
あたしが、隼人の“帰る場所”…?
あたしの首元に着いたネックレスを指で触りながら、隼人は笑顔を向けた。
抱き合うことが、ただ恥ずかしかった。
「…うん、失くしたら困るし。」
『ははっ、すげぇ嬉しい!』
だけど隼人は、いつもみたいに優しく笑ってくれて。
悲しそうじゃなかったから。
それが嬉しかった。
『…なぁ、ちーちゃん。
卒業したら、どーすんの?』
「フリーター予定。
あと1年バイト頑張れば、ファミレスで正社員になれるから。
それまでは今のまま、お金貯める。」
何だか少し、くすぐったいような感覚だった。
目を背けてることくらい、わかってるんだ。
現実から逃げてることくらい、わかってる。
『…家出するんなら、ここで暮らす?』
「…え?」
思ってもみなかった言葉に、目を見開いた。
だけど隼人は、優しく言葉を続ける。
『…ちーちゃんが心配だから…。
ここなら、お金要らないよ?』
「そんなの―――」
あたしの泳がせる目を強く見据え、隼人は言う。
『てゆーか、せめてバイト減らして?
金の心配はしなくて良いから!』
隼人の提案に、正直揺らぎそうになってしまう。
『幸せにする自信はないけど、その分、人より良い生活させる自信はあるから。』
言葉の出ないあたしに、隼人は続けた。
優しく、だけどどこか悲しそうに。
『…だから、俺の“帰る場所”になって?』
「―――ッ!」
そして、抱き締める腕に力が込められて。
あたしの肩に顔をうずめる隼人に、ただ戸惑うことしか出来なかった。
あたしが、隼人の“帰る場所”…?