粉雪
最後まで何も言わずに聞いていた隼人は、少しの沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。
『…ちーちゃん、荷物まとめて。』
「―――ッ!」
『おいで、俺んとこ。』
隼人はあたしに、同情なんてしなかった。
真剣な目であたしを見据え、全てを背負い込んでくれたんだ。
ちゃんと抱き締めてくれて、居場所を与えてくれた。
あたしの荷物は、ボストンバッグ一つで事足りてしまった。
18になった日、あたしは母親に捨てられた。
母親は、あたしの誕生日も覚えてなかった。
だけどこれからは、隼人が覚えててくれるから。
隼人が祝ってくれるから、寂しくなんてないよ。
昔一度だけ、“産むんじゃなかった”って言われた。
酔っ払って言った言葉だから聞こえない振りをしたが、
今となってはリアルに思い出す。
だけど隼人は、あたしの孤独を埋めるように抱いてくれた。
カラッポになってしまったあたしには、隼人の温もり以外に何もなかった。
それはまるで、あたしの物が増えていくこの部屋みたい―――…
『…ちーちゃんは独りじゃないよ…。
俺がいるから…。』
隼人はあたしに嘘なんかつかなかったのに…。
でもね、この時のあたしは、隼人の言葉で救われたんだ。
誰も信じなかったはずなのに。
隼人はあたしを変えた。
考え方も、人生も―――…
『…ちーちゃん、荷物まとめて。』
「―――ッ!」
『おいで、俺んとこ。』
隼人はあたしに、同情なんてしなかった。
真剣な目であたしを見据え、全てを背負い込んでくれたんだ。
ちゃんと抱き締めてくれて、居場所を与えてくれた。
あたしの荷物は、ボストンバッグ一つで事足りてしまった。
18になった日、あたしは母親に捨てられた。
母親は、あたしの誕生日も覚えてなかった。
だけどこれからは、隼人が覚えててくれるから。
隼人が祝ってくれるから、寂しくなんてないよ。
昔一度だけ、“産むんじゃなかった”って言われた。
酔っ払って言った言葉だから聞こえない振りをしたが、
今となってはリアルに思い出す。
だけど隼人は、あたしの孤独を埋めるように抱いてくれた。
カラッポになってしまったあたしには、隼人の温もり以外に何もなかった。
それはまるで、あたしの物が増えていくこの部屋みたい―――…
『…ちーちゃんは独りじゃないよ…。
俺がいるから…。』
隼人はあたしに嘘なんかつかなかったのに…。
でもね、この時のあたしは、隼人の言葉で救われたんだ。
誰も信じなかったはずなのに。
隼人はあたしを変えた。
考え方も、人生も―――…