粉雪
―――校長の長い話は、眠らずに聞くだけで精一杯だった。
在校生の答辞には、虫唾が走る。
だってあたしには、“輝かしい未来”なんて、どこにも存在していないんだから。
胸元につけられた安っぽい花は、酷く滑稽に思えて仕方がない。
そして案の定、母親は来なかった。
期待なんてしてなかったから、悲しみもない。
“今までありがとうございました。
さようなら―――…”
それだけ置手紙で残してきたけど、連絡すらないことに、笑うしかなかった。
どうやらあたしは、本当に捨てられたらしい。
だけど、大丈夫。
あたしには、隼人がいるんだから。
今日は、卒業式。
学校だけじゃない。
母親からだって、これでやっと卒業出来るんだ。
不安がないと言ったら、嘘になる。
隼人の仕事の事だって、不安で仕方ないんだ。
だけど、それでも隼人の隣に居ることが幸せだから。
あたしには、それだけで十分だから。
―ブィーン、ブィーン…
着信:隼人
卒業式が終わるのを見計らったように、隼人からの着信が告げられた。
その瞬間、あたしは笑顔で通話ボタンを押す。
―ピッ…
「は~い!」
『卒業式終わった?』
「うん。
あたし、最後まで校歌覚えられなかった!(笑)」
卒業証書を鞄に投げ入れた。
こんなものなんて、何の意味も価値もない。
『あははっ!ダメじゃん!
俺、高速だよ~。
マジでダルイ!!』
「栄養ドリンク飲みなよ(笑)」
『あははっ!ホントそれ!
滋養強壮ってやつ?』
「意味わかんない!!(笑)
とりあえず、ブルーベリー必要じゃない?」
『あははっ!わかった!』
隼人との電話を切ると、通い慣れた教室から校庭を眺めた。
在校生の答辞には、虫唾が走る。
だってあたしには、“輝かしい未来”なんて、どこにも存在していないんだから。
胸元につけられた安っぽい花は、酷く滑稽に思えて仕方がない。
そして案の定、母親は来なかった。
期待なんてしてなかったから、悲しみもない。
“今までありがとうございました。
さようなら―――…”
それだけ置手紙で残してきたけど、連絡すらないことに、笑うしかなかった。
どうやらあたしは、本当に捨てられたらしい。
だけど、大丈夫。
あたしには、隼人がいるんだから。
今日は、卒業式。
学校だけじゃない。
母親からだって、これでやっと卒業出来るんだ。
不安がないと言ったら、嘘になる。
隼人の仕事の事だって、不安で仕方ないんだ。
だけど、それでも隼人の隣に居ることが幸せだから。
あたしには、それだけで十分だから。
―ブィーン、ブィーン…
着信:隼人
卒業式が終わるのを見計らったように、隼人からの着信が告げられた。
その瞬間、あたしは笑顔で通話ボタンを押す。
―ピッ…
「は~い!」
『卒業式終わった?』
「うん。
あたし、最後まで校歌覚えられなかった!(笑)」
卒業証書を鞄に投げ入れた。
こんなものなんて、何の意味も価値もない。
『あははっ!ダメじゃん!
俺、高速だよ~。
マジでダルイ!!』
「栄養ドリンク飲みなよ(笑)」
『あははっ!ホントそれ!
滋養強壮ってやつ?』
「意味わかんない!!(笑)
とりあえず、ブルーベリー必要じゃない?」
『あははっ!わかった!』
隼人との電話を切ると、通い慣れた教室から校庭を眺めた。