粉雪
『…ちーちゃん…。
嫌になったんだったら、俺のこといつでも捨てて?
恨んだりしねぇから…。』


「―――ッ!」


悲しそうに笑うその顔に、唇を噛み締めた。



隼人のこと、捨てられるわけないじゃん。


こんなに愛してるのに…。


隼人だって、あたしなしじゃ生きられないじゃん。


あたしだって、隼人なしじゃ生きられないんだよ…?



「…何でそんなこと言うの?!
好きだから心配してんじゃん!!
…そんなの…今更だよ…!」


爪が食い込むほどの力で拳を握った。


だけど心の方が、もっと痛くて。


そんなあたしに安心したように、隼人は悲しそうに笑い掛ける。



『…ありがとな、ちーちゃん…。
俺も愛してるから…。』


「―――ッ!」


隼人のキスは、やっぱり血の味がした。


だけど絡まる舌が生暖かくて、それだけで隼人が生きていることを実感出来た。




ねぇ、隼人…


あたし達は、愛し合ったからダメだったのかな?


愛し合ったから傍に居たのに、それがダメだったの?



別れてれば…


出会わなければ、あんなことにはならなかったのかな?


“ありがとう”なんて、言わないで…。


何であたしのこと、恨んでくれなかったの?


それが今も、あたしの胸を締め付けてるよ。



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