粉雪
妊娠
あたし達は、引き返す道もないまま進み続ける。
なのにいつまで経っても真っ暗闇で、出口さえも見えない。
過ぎ行く毎日は、やっぱり不安で。
だけど、隼人がこの部屋で笑ってくれるから。
だからあたしも、何事もなかったように笑う。
季節は12月を向かえ、外はイルミネーションに彩られた。
浮き足立っている人の群れに、だけどあたしは笑うことが出来ない。
生理が半月も遅れているから。
もちろん隼人には、何も言っていなかった。
検査をすることが、何より怖かった。
出来ていたら、もちろん産みたい。
でも、あたしは隼人の足枷になんかなりたくない。
だから、真実を知るのが、一番怖かった。
『ちーちゃん、明日遅くなる。
シャブ運ばなきゃだし。』
「―――ッ!」
瞬間、ハッとして笑顔を向ける。
「…そうなんだ。
山間部は寒いらしいし、雪降らないと良いね。」
相変わらず、隼人は仕事を続けていた。
隼人の体には、今も刺された傷が残っている。
その傷を見る度に、胸が苦しくなる。
『だな。
安全運転しなきゃ。』
隼人の言う“安全運転”が、一番心配だった。
だけどそんなあたしの心配をよそに、隼人は笑顔を向ける。
『明日、夜までには戻れるから、どっか食いに行こう?
最近忙しかったしな。』
「うん、楽しみ~♪」
引き攣る笑顔が、隼人にバレないことだけを祈り続けた。
今のあたしは、まるで心がココになくて。
だけど今はまだ、言い出すことが出来ない。
なのにいつまで経っても真っ暗闇で、出口さえも見えない。
過ぎ行く毎日は、やっぱり不安で。
だけど、隼人がこの部屋で笑ってくれるから。
だからあたしも、何事もなかったように笑う。
季節は12月を向かえ、外はイルミネーションに彩られた。
浮き足立っている人の群れに、だけどあたしは笑うことが出来ない。
生理が半月も遅れているから。
もちろん隼人には、何も言っていなかった。
検査をすることが、何より怖かった。
出来ていたら、もちろん産みたい。
でも、あたしは隼人の足枷になんかなりたくない。
だから、真実を知るのが、一番怖かった。
『ちーちゃん、明日遅くなる。
シャブ運ばなきゃだし。』
「―――ッ!」
瞬間、ハッとして笑顔を向ける。
「…そうなんだ。
山間部は寒いらしいし、雪降らないと良いね。」
相変わらず、隼人は仕事を続けていた。
隼人の体には、今も刺された傷が残っている。
その傷を見る度に、胸が苦しくなる。
『だな。
安全運転しなきゃ。』
隼人の言う“安全運転”が、一番心配だった。
だけどそんなあたしの心配をよそに、隼人は笑顔を向ける。
『明日、夜までには戻れるから、どっか食いに行こう?
最近忙しかったしな。』
「うん、楽しみ~♪」
引き攣る笑顔が、隼人にバレないことだけを祈り続けた。
今のあたしは、まるで心がココになくて。
だけど今はまだ、言い出すことが出来ない。