氷ノ様ナ鏡
そして俺が麗音の前に立つ
真っ白で綺麗な麗音
肌に触れると少し固くて冷たい
琉紅は後ろから俺の頭をずっと撫でていた
「麗音…?」
ゆっくりと呼べば‐なに、璃黄‐と麗音が今にも言いそうで俺は麗音の手を握る
冷たい
「璃紅、なんで麗音は冷たいんだ?コイツ寒いの苦手なんだから温ったかくしてあげてくれよ」
ポツリ呟いて首だけ動かして後ろの璃紅を見れば璃紅は泣いていた
璃黄――、と口を開くが聞きたくない
璃紅から紡れる麗音の名前は聞きたくない
きっと俺が望む言葉じゃないから
時間ですと言って真っ黒な服を着た偉そうな大人が麗音が横たわる箱の蓋を閉める
俺がすかさず止めようとしたけれど璃紅達に取り押さえされて動けない
どんなに暴れて声が枯れるまで麗音の名前を呼んでも
麗音の返事が返ってくることは二度となかった
あの箱から帰ってくることも
そして麗音は
灰色になった