氷ノ様ナ鏡
青い髪の従者が亡骸の横に転がっていた指輪を拾い上げ、キスを1つ落とす
「厄介な主人だったね」
「少しだけ見込みちがいだったかな」
その顔は微嗤みをこぼしながらも胸に渦巻く悲痛な想いを隠し切れていなかった
「我々に人間の感情は解りませんが」
「あーあ、これでやっとお前等と別れられるな」
青い髪の従者は、ギュッと指輪を強く握る
「だけど、少し悲しいのねー」
「まぁうん千年の付き合いだったからな」
「寂しいですね」
「もしかしたら、この気持ちは繰魅と同じだったのかも知れね……」
青い髪の従者が握っていた拳を開くとそこに指輪は無く
ドロドロに溶けたシルバーが従者の指を伝い、床を汚した
そして7人は、スッと塵となり空へと消えていった
我が身に宿る聖獣よ
我が身の死で
その他等に掛けられた
幾千の呪いは解けるなり
ゆっくりと眠れ
もうそなた等が
悲しみに染まることはない
(私に力を貸してくれてありがとう
お前等はもう自由になれる
引き金を引くことを躊躇うな
そなた等の新しい命を
授かることを我は死しても願う)
end