氷ノ様ナ鏡
その日はそのまま眠った
眠りの中で彼女が俺の頭を撫でているようなそんな感覚がした
目が覚める
少し肌寒い風が窓から吹いて俺は身震いをした
隣に手を伸ばして彼女を確認しようとしたけれど何も掴めない
首だけ動かして横を向けば誰もいなくて変わりに墓前の上で花が揺れていた、彼女の好きな花
真紅の薔薇だけがそこにあった
ぼんやりとした頭で理解する涙が頬を伝ってゆっくり落ちていった
そうか昨日は彼女の命日だったんだ
end