太陽ジャンク
~Chica~
勇助に連れてこられた場所は
中学校よりも小さいグラウンドだった。
「なぁ、勇助ってポジションなに?」
ユニフォーム姿の勇助は軽く屈伸をする。
「キャッチャー。」
「えー、ピッチャーじゃないのかよ。」
勇助は伸びをしてグラウンドで
走っている仲間たちのほうへ走って行った。
「そこで見学してろよ!」
「へーい。」
とも言っても暇だ。
てっきり、オレも参加してもいいのかと思ってた。
犬が目の前を通った。
たぶん柴犬。
「うーっ」
オレに向かって唸った。
口にはボロボロの野球ボールをくえている。
「鬼ごっこでもしたいのか?」
うなずくように犬は逃げた。
「うらぁー!待てー!」
オレは追いかけた。
犬は道具倉庫へ向かう。
うしっ、回り道だ!
オレは倉庫の裏に向かう猫を通せんぼするつもりだった。
しかしっ
ドンッ!
「いたたたっ、ごめんね。」
見知らぬ野球少年にぶつかってしまった。
犬はその横で澄ました顔で逃げていった。