太陽ジャンク
「あっ!犬野郎!どこ行きやがった?!」
「知ってるの?あの犬。」
野球少年はきょろっとした顔で聞く。
勇助より幼い感じだけど
優しい雰囲気を持つ男の子。
「いや…知らないけど。」
「あの犬がくわえているボール、僕のなんだ。
それで追いかけてるんだけど…。」
「おーっ!それ面白そう!
オレも手伝う!」
少年はニコッと笑った。
そして、二人並んで歩き出した。
「オレ、浅沼知佳。
ちぃって呼んで。」
「僕は南葉悠太。
皆から普通に悠太って呼ばれてるの。」
子犬のようにはにかむ悠太。
「っで、お前が探してるのはこのボールか?」
「ユウ兄!」
目の前で勇助がさっきまで犬がくわえていたボールを
悠太に差し出した。
「あの犬、コーチの犬だろ?」
「そうなの!?知らなかったぁ。」
「お前、俺よりここに居る歴長いだろっ。」
そう言って、ちょっと背が低い悠太の頭を撫でる
勇助の顔は笑っていた。