太陽ジャンク



「っで、この人が本当にちぃの婚約者なの?」


姫の助は髪の毛をいじりながら言う。



「だから、ちげぇっ!


俺はこんな奴の婚約者なんかじゃねぇ!」



勇助は大きな声で怒鳴る。


「そんな大声で言うなよぉ。


オイの鼓膜がじんじんするだろぉ。」


吉太郎がうるさそうに耳をふさぐ。




ここは親善同好会の部室。


と言っても、使われていない会議室だけどな。



オレたちはここで同好会としての活動をしている。




「絶対ゆうだから!」


「まぁ〜た。この前も違う生徒にそう言ってたじゃない。」


「田口はタレ目だから違うって分かったんだよ。


だから、絶対ゆうなんだってば!!」




オレが指さす先にいる勇助は大きなあくびをする。





「でさぁ、お前らがさっきから言っている


その"ゆう"って奴は何なの?」




「ちぃの婚約者だって。


7年前、ちぃはそのゆうっていう子と


結婚を約束し、ずっと探し続けているんだって。」





「なっ・・・7年前って、俺らが幼児の時じゃねぇか!!」


「んなの、関係ねぇよ。」


「いや、あるだろっ!!」



勇助はダンっと机をたたき、


カバンをしょって立ちあがった。




「俺、帰るわ。やってらんねぇ。」



「だったら、ここにサインしてちょうだい。」




姫の助が何か白い紙を渡し、


勇助は訳が分からず名前を書く。




「これでいいのか?」



「フフフフッ、ありがとう。」





そして、姫の助はぱんぱんっとオレたちに向かって


手を叩いた。




「さぁ!新しい仲間を祝してここらでちょっと自己紹介をしましょう!!」




「エエエエエエエエエエエッッ!!??」


< 6 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop