ウイニングボール

決着

 逆転して大喜びの草野球チームに対して相手はかなり焦っていた。

「どうするよ? このままじゃ負けちまう」
「前の回の時、助っ人呼んだからもう来るはずだ」

 ピッチャーの言葉にキャッチャーの男がそう言った。

「助っ人って?」
「俺の従兄弟だ」
「従兄弟って盟邦(めいほう)高校の?」

 その言葉にキャッチャーの男はニヤリと頷いた。

「去年の甲子園出場校のエースで四番の生田(いくた)だよな?」
「ああ。きっと打ってくれるさ」

 その時ベンチに一人の男がやって来た。盟邦と書かれたユニフォームを着ている。キャッチャーの男と少し話すと試合を見つめた。
 ワンアウトから一人がバントを三塁に転がし、三塁手が戸惑っている内に一塁へ。内野安打だ。次のバッターもバントをしたが祐樹が処理をして二塁アウトでツーアウト。

「打てそうか?」

 キャッチャーの男が生田に聞く。

「あれぐらいのピッチャー、甲子園にはゴロゴロいる」

 それだけ言うと生田は代打でバッターボックスへ向かった。
 

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