先生、嫌いです
近くに電灯らしい物なんて無かったが星の明さで充分だ。
夜なのに空気は澄んでいて心地良い。
「亜美に何かしました?」
結衣は真っすぐ神崎を見る。
神崎は何も答えられず目をそらした。
「亜美の事抱きしめたでしょ」
「いや、それは…その…」
言葉が出ない。
適当な言い訳も見当たらない。
「亜美から聞いたんです。…そんな顔しなくてもいいですよ。誰にも言ったりしませんから。
先生は亜美のこと好きなんでしょ」
神崎は結衣を見た。
「好きって…何を言っているんだ。俺は教師で佐原は生徒…」
結衣は神崎の言葉を遮った。
「先生が亜美を見る目、生徒を見る目じゃないです」
最近の高校生はこういうものなのか。
すぐに好き、嫌いを言い出す。
神崎は結衣の言葉を聞きながら思った。