先生、嫌いです
「佐原…これ」
神崎がポケットから出したのは自分の電話番号とアドレスを書いた紙だ。
俯いていたから表情はわからないが、亜美はその紙を受け取った。
「…教室へ戻ろう。田口が待ってる」
亜美は頷いた。
教室へ戻る間、何も話さなかった。
それでも神崎は亜美に一歩近づけた気がした。
亜美が教室のドアを開く。
「亜美…!」
「屋上にいたんだ。じゃ、俺はやらなきゃいけない仕事あるから」
神崎は教室を出た。
やらなきゃいけない仕事なんて無いが、今は2人にさせようと思ったのだ。
「…ごめんね、結衣」
ううん、と結衣は首を振った。
「私、わかってた…。信じなきゃ始まらないって…」
「亜美…」
亜美はゆっくり、ゆっくりと自分の気持ちを結衣に話す。