先生、嫌いです


気がつくと家の中にいた。
どうやって帰ったのか覚えていない。
歩いたのか、タクシーを拾ったのか…。




家の中にいても震えは止まらなかった。
涙も流れたままだ。




「恐い…助けて…」




亜美の声は小さくて細く、今にも折れてしまいそうだった。




「私…もう嫌だよ…やめてよ…」




昔のことが嫌でも思い出される。
思い出したくない、消したい過去。




目の前がぐらぐらする。
自分が立っているのか、倒れているのかわからない。
亜美は錯乱状態になっていた。





< 57 / 68 >

この作品をシェア

pagetop