worlds of last generationシリーズ 第一部
怠惰な授業風景。
教卓付近の天井から降りる巨大モニターを見つめながら、私達はfortoPC(フォートピーシー)を起動させ操作していく。

fortoPCは昔で言うノートの様な物だが、専用端末を取り付けると実際に見聞きした事が自動で文章や写真として表示される多機能microPCで、主に学校や作家などが好んで使う物だ。
簡単に言えば、昔のExcelやWordとPhotoshop等のソフトが全て搭載され、更に進化したPCと言えば通じるだろうか。

授業も最先端技術を駆使するこの時代、ノートや筆記用具等を持っている人達はあまりいない。
PCを複数持っていれば言い訳だし、かなり小型の為にかさばり難いからだ。
旧式携帯使用者はストラップとして…その他の子達はアクセサリー型の物を使用しているから無くす心配があまりない。

そんな時代の最先端技術を使わずに、かさばるノートや筆記用具を使用する人は極めて珍しいが…私達は常に一冊のノートと筆記用具、教科書を鞄の中に入れていた。
それは他ならぬ日本史の授業の物で、唯一の旧式授業を採用している教科なのだ。

ここだけの話…
私達は高校生になるまで筆記用具を持った事も、ノートや教科書に触れた事もなく育った。
だから最初の内は使い方が分からなくて悪戦苦闘したけど、そんな事さえ…今は良い思い出だ。
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