worlds of last generationシリーズ 第一部
「おはよう美夜那。最近大変そうだけど…あんまり無理しないでね」
私も彩葉に倣い、彼女に挨拶する。
もうすぐ卒業とあって、私達は進路によって様々な準備をしなくてはならない。
本来なら私もそうしているはずなのだが、私はやっていないのだ。
否、未だ進路を決めていなかった…

それは皆の様にやりたい事がなかったからなのだが、担任や友人に言わせれば“将来に対する危機感がない”らしく…良く心配されている。
――皆には悪いけど、どうしてもやりたい事が見付からない。
進学は私の成績じゃ絶対に無理、かといって私に出来そうな仕事も少なくて…悩んではいるものの、全く決まらないのが現状だった。

「お前なぁ…」
そう溜め息混じりに言う言葉は最後まで紡がれる事なく、無駄に明るい声に遮られた。
「あ〜!おはよう久藤さん。今日は来ないかと思った」
そう言いながら駆け寄ってくる鴫野に、あからさまに嫌そうな表情を浮かべる。
「ごめんなさい由亜、彩葉…私急用が出来たの」
美夜那は素早く席を立ち、それだけ言うと教室を後にした。
それを追う様に今教室に来たばかりの鴫野も去っていく。

そんな二人を見送り、今度は小手川達を混ぜて談笑する。
そんな風にして、騒がしい昼休みを過ごした。
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