worlds of last generationシリーズ 第一部
「お待たせ。ごめんね、長くなっちゃって」
私達の元へ戻ってくるなり、申し訳なさそうに言う彩葉。
「良いよ。そこまで待ってないし」
「それよりも、どのアーティストの物を買ったの?」
笑いながら言う私に続いて美夜那が聞く。
心なしか…少しソワソワしている気がする。

「Snow dollの新曲とアルバムだよ。今日発売で、先着でポスター付くの」
そう言って本当に嬉しそうに笑う彩葉。
帰り際に嬉しそうにしてたのはこれが原因だったんだ。
そう思いながら二人を見ていた。

「やっぱり…そのためだったのね」
あからさまに悔しそうに呟く美夜那を見て、美夜那もSnow dollファンである事を思い出す。
「当たり前でしょ?ポスターほしいし、何よりも新曲はすぐに聞きたいしね」
そう言うと手に持っていた小さな箱を鞄にしまう。
美夜那は羨ましそうに、それを見つめていた。

そんなに欲しいなら買えば良いのに…
普通の人ならそう言うだろう。
でも美夜那には、そう言った物が買えない理由がある事を…私達は知っている。
だからあえて何も言わない。
だって彼女は、気を遣われたりするのがあまり好きじゃないから――

「ねぇ、それよりも早くカラオケ行こうよ!部屋とれなくなっちゃう」
私がそう急かすと二人は頷き、CDショップを後にした。
カラオケ屋はそこから少し歩いた場所にある為、すぐに辿り着く。
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