worlds of last generationシリーズ 第一部

「いただきます」
手を合わせてそう言うと、私は朝食を食べ始める。
一人で静かに食べ進めていく食事は、やっぱり何時まで経っても慣れない。
まぁ、私が早めに家を出てるのが悪いんだけど…
そんな事をふと思いながら食べ進めていく。
今日は焼き魚の塩加減が完璧だったらしく、魚本来の旨味が引き立てられていて、朝だと言うのに食が進んだ。

「ごちそうさま」
手を合わせ、挨拶をしてから食器を片付ける。
流台の一角に、不自然な形で設置された四角い箱に手をかざす。
するとその下の壁が開き、広い空間が姿を表す。
私はその中に食べ終わった食器を順番に並べ、もう一度箱に手をかざして壁を元に戻した。

これは食器洗浄器で、壁の中に設置された洗浄空間に食器を適当に並べると綺麗に洗ってくれる優れ物。
洗剤が予め搭載されていて、更に専用の培養機で生産されるために詰め替えなどの必要がないのが良い。
しかも自動洗浄器なのに、頑固汚れを見事なまでに洗い流してしまうのだ。

そんな訳で食器洗いはハイテク技術に任せて、私はリビングに戻る。
時計を見ると、七時十分になっていたのでそろそろ家を出る事にした。