worlds of last generationシリーズ 第一部
「行ってきます」
玄関で靴を履いて出る時に、小さく呟く。
まだみんな寝てるだろうから、なるべく静かに家を出ようとしたのだ。
「あら〜?由亜ちゃんおはよう、もう行くの?」
しかし…そんな私の気遣いも虚しく、やけに子供っぽい様な高い声が廊下に響く。
振り向けば、眠そうにしているパジャマ姿のお母さんが立っていた。

「うん。いつもこの時間に出てるから。それに余裕を持たせて出た方のが遅刻する心配ないしね」
そうお母さんに言いながら笑う。
「ん〜、そうなの〜?いってらっしゃい、気を付けてね〜」
何処か納得の行かない様子だったが、考えるよりも眠気が勝ってしまった様で、語尾が間伸びしていた。

「うん、行ってきます」
そう笑顔で言うと玄関を出る。
朝の日差しに照らされた道と、暖かくなってきた陽気の中を歩いて行く。
近隣の家の塀が連なっているだけのその道は、たまに見る事の出来る木々の緑を除いて何もない。

朝なのに人通りの少ないこの場所は、とても寂しかった。
それは単に私の登校時間が早いと言うだけでなく、此処は何時だって静寂に包まれているからだ。

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