worlds of last generationシリーズ 第一部
校門を通り、校舎まで続く桜並木を二人で歩く。
今の季節だと、まだそれほど蕾はついていない桜も、四月になると綺麗に咲き誇る。
そんな桜を視界の片隅で眺め、彼と笑い合いながら校舎を目指す。

「おっす朔!!相変わらずラブラブですなぁ」
相変わらずふざけ合いながら歩いていると、そんな声と共に自転車を漕ぐ音が聞こえてくる。
「誰がラブラブだって!?訂正しなさい鴫野」
いかにも馬鹿っぽい声の主に抗議した。
でも、それも無駄に終わる事を知ってるから…自然と溜め息を溢してしまう。

「そんなの深月と朔がに決まってんだろ?お前の鈍感さには感服するね」
笑いながら私達の隣を、速度を落として走行する。
“鈍感”
この言葉にムッとした私は戦闘体勢を取ろうとしたが、それは隣を歩く彼に遮られた。

「おい竜樹、あんまり調子に乗ってると痛い目見るぞ。こいつ今日は朝から機嫌悪いんだ」
そう言ってわざとらしく顔をしかめると、私に目をやる。
その表情はもう…私の怒りを煽るには十分な程、面白そうに笑っていたのだ。
しかし…そんな彼の表情に鴫野が気付くわけもなく
「やっべ!!深月の地獄突きだけはマジ勘弁」
そう言いながら自転車で走り去っていった。
< 4 / 84 >

この作品をシェア

pagetop