worlds of last generationシリーズ 第一部
扉を開いて直ぐ視界に入る階段を降りて、私達は二階の廊下で別れる。
教室までの道のりは差して長くない為、直ぐに着いてしまう。
「おっ帰りぃ〜遅かったね由亜」
扉を開いて、中へ入ると同時に聞こえてきた彩葉の声。
見ればもう既にお弁当の準備が出来ていた。
……私の分まで。

「用意周到ですね、彩葉さん…」
「そりゃもう、早く食べたくてうずうずしてましたから」
席に近付きながら言う私に、親指を立ててウインクする彩葉は、何だか楽しそうだった。

「で、どうだったの?」
「何が」
間発入れずに変えす私に、少し頭をか変える。
そんなに変な事言っただろうか?
いや…言ってないと思う。
そう勝手に自己完結させながら席へ座り、荷物を鞄に押し込んだ。

「何がって…あんたとぼけるつもり?」
漸く口を開いた彩葉は、少し膨れた顔をしている。
「だから何が?」
私は彩葉が膨れてる理由がさっぱり分からず、もう一度同じ事を聞く。
と言うより何を聞きたいのか理解できない私では、そう変えすしかないのだが…

「え?もしかして本当に分からないの?」
顔をしかめながら私を見つめる彩葉をよそに、私は机に用意された昼食に手を付けるべくお箸に手を伸ばす。
「さっきからそう言ってる」
いただきます。
と小声で呟き、先ずはだし巻き卵を食べる。

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