worlds of last generationシリーズ 第一部
「由亜のお弁当っていつも美味しいよね。あれを自分で作ってるんだから凄い」
良いお嫁さんになれるね
笑いながら言った彼女はそう付け足した。

「誉めてもなにもでないぞ」
嬉しかったけど、何だか照れたからそう言って彩葉の脇腹を小突いてやる。

「何女同士でイチャついてんだよお前ら。まっまさか…レズ―――」
『死ね』
教室の扉が開くなり、鴫野が歩きながらやけに高いテンションでからかってきたが、二人で同じ言葉を綺麗にハモりながら殴ってやった。

「二人とも息合い過ぎ」
私達の近くで床に沈んでいる鴫野をよそに、扉付近からそんな声が聞こえる。
「突っ込む所はそこですか、仲戸さん…」
今だ痛そうに顔を歪めながら、そう呟く鴫野。
目をやれば学食から帰ってきたらしい、仲戸と小手川が此方に向かって歩いていた。

「自業自得だな」
「ただの冗談じゃんか!!」
冷たい声色で鴫野に言い放つ小手川と、少し焦ってる鴫野…私達のいる場所で、何やら言い争いを始めそうな雰囲気で、仲戸は軽く苦笑いする。

大変だね…仲戸――
そう心の中で呟いた時だった。
「何を騒いでいるの?」
教室の扉が開く音と共に聞こえてくる声。
何処かイライラを含んだその人の声は、やけに教室内に響いた。

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