worlds of last generationシリーズ 第一部
それから少し経った辺りで、私達は更衣室まで辿り着く。
静夜は私を下ろすと、預けていた自分の体育着を受取り、更衣室へ入ろうと歩き出す。

私に背を向けて歩く静夜は、今まで走っていたせいか、肩で息をしている。
ただ走っただけならまだしも…私を抱えた状態で長い渡り廊下を通ってここまで来たのだ。
普通なら倒れてもおかしくない距離なのに、彼は倒れるどころか今も普通に歩いている。

まだお礼も言ってないのに、何も言わずに笑顔だけ残して行こうとする彼。

待って
そういう前に、静夜が止まった。
どうしたんだろう?
そう思って聞こうとする前に静夜が口を開く。

「どうしたの?ゆぅちゃん」
「ふぇ?」
まだ私何も言っていないのに…
驚いてつい変な声を出してしまう。

「ふぇって…何その声、可愛い」
笑いながら私の頭に手を乗せる。
私は恥ずかしさのあまり俯いたが、その時にある光景が目に映った。

あっ!
もう一度驚いて、目を見開く。
そうした覚えなんて全くなかったのに…
私の手は、いつの間にか彼のシャツの裾を掴んでいた。

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